ER看護師

ER勤務をやっててよかったと思ったエピソード

私が勤務するERでは救急車がひっきりなしに来ます。夜間は自家用車やタクシーなどで自分でいらっしゃる患者さんもたくさんいらっしゃいます。救急は病棟勤務と比べて忙しい時は食事や水分もとれない、トイレにいくこともままならないということも通常化しています。

 

そんな過酷な勤務の中でも嬉しかったな、よかった!と思うこともあります(嫌なこともありますが)。

 

今回は救急ならではのあたたかくよかったと思うエピソードをお伝えしたいと思います。

救急車が動けない

119番するといつでもどこでも消防の救急車は出動します。看護師として転搬送の付き添いで同乗したことはありますが、傷病者としてはまだ乗ったことはまだありません。傷病者の元に駆けつけバイタルサインの測定、症状や怪我の状態に合わせての応急処置(例えば酸素の投与、手足の固定、止血処置など)をし車内収容したら携帯電話や警防本部、指令センターなどが受け入れ可能な病院を探します。

 

平日の昼間ならそんなに病院選定に困るというということはありません。日本の救急車は受け入れしてくれる病院が決まらないと現場から動けません。ところが夜間、土曜日や日曜日、祝日など病院が開いていない時間帯は中々受け入れ先の病院が決まりません。特に精神科、小児科、耳鼻科、眼科、歯科、産婦人科などのマイナーな診療科目は皆無に等しいくらい地域によってはありません。そんな時救急車は三十分、四十分、場合によっては一時間と時間はどんどん経過してしまいます。

 

ある日の深夜、こんな救急要請が勤務するERのホットライン(救急隊から直接連絡が来る直通電話)が鳴り響きました。

 

「六十八歳の男性で昨日の夕方の六時から排尿がなく下腹部の膨満、排尿困難を訴えています。既往歴は前立腺肥大でAクリニックのかかりつけです。収容をお願いできないでしょうか?」特に断る理由もなく(北米型のERは原則救急要請はどんな患者さんでも断りません)内容を聞いて収容OKを救急隊に伝えました。

 

ところが到着まで50分もかかると言われ、救急隊名は聞いたこともない隊名。なんと、隣接する県のからの救急搬送でした。

 

通常、救急隊は特別な場合を除いて直近の医療機関に収容依頼をします。到着までどんなに長くても15分くらいです。

 

昼間だったらかかりつけに相談、受け入れ要請をするということも可能ですが深夜となるとクリニックも診療はやっていません。救急隊も一応ですが傷病者本人の希望もあり連絡はいれたみたいですがやはり電話には誰もでなかったそうです。

救急車がやってきたびっくり

50分後、本当にその救急車が到着しました。初療室のベッドに移され諫早に救急医、看護師で診察、バイタルサインの測定処置が始まり結果は尿閉(尿は体内で作られているが排尿ができない状態)であることがわかりました。

 

導尿処置をして排尿させた尿量が800ccもありました。カテーテルはそのまま留置し排尿バックを接続して紹介状をもたせて日中にかかりつけ医の受診をするように患者さんと付き添ってきた患者さんの奥さんに説明しました。

 

搬送してきた救急隊からは「近くに泌尿器を診察してくれる医療機関がなく、また救急病院にも連絡してみましたがその日はどこの病院も救急車の受け入れをしていて受け入れる余裕がなかったんです。患者さんの元に駆けつけてから約二時間受け入れ先が見つからず大変困っていました。ありがとうございました」と言われました。

 

救急隊が出場した地域には大学病院の救命救急センターがありました。救命救急センターは三次救急(命に関わる重篤な患者さんを受け入れる施設)なので重篤ではない患者さんを受け入れることはできないのです。重篤ではない患者さんを多数受け入れてしまうと、重篤な患者さんが来てしまったら限られた医療資源を救命のために投入ができないからです。

 

全国の救命救急センターがそうではありませんが、基本的な立ち位置としてはこんな感じです。要するに二次救急の病院がダメなら三次救急の病院や救命救急センターへ搬送というのはダメということなのです。命に軽いとか重いということは絶対にないはずです。でもこれが現在の救急事情の一つなのです。

患者さん家族の気持ち

処置も一通り終了して患者さんの説明も終了、紹介状も渡して会計に案内しようとしたら患者さんとその付き添いの奥さんからこんな言葉をいただきました。
 
「最初は自分たちで近くの病院に電話してタクシーで行こうとしましたがどこも病院が見つかりませんでした。救急の電話相談に相談しましたがどこも深夜の時間に泌尿器の病院はないと言われて止むおえず119番して救急車を呼んでしまいました。救急隊の方たちは一生懸命手を尽くしてくれました。苦しいとか痛いとかはありませんでしたが、やはり病院が見つからずとても不安が大きくなりました。受け入れていただきありがとうございました。」

 

自分たちは患者さんのためにいつものことをしただけです。患者さんの立場になったらという気持ちがよくわかった瞬間でした。

 

感謝を求めて仕事はしていません。でもこんな暖かい気持ちになれた時ER勤務の看護師としてよかった!こんな自分でも患者さんのためにできることがあったんだ!と改めて発見できこちらこそ感謝した瞬間でした。

 

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